第46話

悠妃:「やっと、言ってくれたね。」


妃愛:「はっ!?やっとって…」



涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔を

悠妃くんには見せられない。



だから、

声だけで返事を返す。



悠妃くん、やっとの意味がわからない。




悠妃:「妃愛はさ、溜め込む性格ではあるけど一人で全てを抱えられるほど強くはないよね。」


妃愛:「…は?」


悠妃:「溜め込むよりも、口に出して吐き出したほうがいいんだよ。」


妃愛:「だったら…だったら…悠妃くんも…同じでしょ……」


悠妃:「うん、そう。同じ。だからこそ、分かり合えるって思ってるんだけど、俺は。妃愛の苦しい気持ち、俺は理解できると思ってる。」


妃愛:「………………。」


悠妃:「俺は一人で全て背負えるほど強くはないし、誰かの支えなくしては生きてもいけない。」


妃愛:「…………………。」


悠妃:「勝手に思ってるよ。妹であるけど、仲間でもあるって。それは、ただ妹だからではなくて、俺と妃愛、同じ苦しみを抱えているから。分かり合える存在だなって、思ってる。納得いかない?」




妹でもあるけど


仲間でもある。



わかり合える存在。




ずるいな…悠妃くん。


悠妃兄は、ずるい。



真実を知ってから


時間はあまり経っていないのに


受け入れようと頑張って


拒絶してもおかしくないのに


真正面から向き合おうとしてる。



かっこいいな、悠妃兄。

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