第12話

燈妃:『逃げるな、って言っても…じゃあ向き合いますって簡単にはできないよな。』



うん、できないよ……



言うのは簡単。


でもね、言われる側は

自分自身で逃げてはいけないって

思っているし、理解はしてる。


行動に移す…に至るまでが難しいんだよ。



私は、色々と考えてしまうから。




燈妃:『今さ、妃愛が言われたくない…話したくないって思ってること…俺わかってる…つもりではいる。』


妃愛:『うん。』


燈妃:『今後の話をするのは今ではないと思っている…けど。』


妃愛:『うん、わかってる。』


燈妃:『話さないと今後を考えると、妃愛はしんどくなると思う。父さんや竜妃兄達含めてさ、みんな…混乱してるから………どうしたいのかも含めて、妃愛と話さないといけないんだ。理解できる?顔、あげてくれないかな。』



大事な話をしたいから

きちんと向き合って話そう…って

ことだよね。


乗り気になれないけど

ここで逃げたら後が苦しくなる……



ひいくんのマンションで

暮らしていた私は…


今後どこで暮らしていくのか…

話さないといけないんだよね……


仲野……木崎のおじさんの家も含めて

どこで生活していくかを…



燈妃:『ひめちゃん。』



ともくんの優しい声が、今は苦しい。


この場から逃げ出せるものなら

逃げ出してしまいたい。


でも、今、「逃げる」を選択したら

後で苦しむのは、私自身。

だから、この場は向き合うしかないんだ。

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