第8話

燈妃:『強がらなくてもいいじゃん。』



私が聞いているのかわからないのに

話し始めた、ともくん。


きっと、聞かないフリをして

聞いていることわかっているんだろうな。



燈妃:『自ら、一人になること…本当に妃愛が望んでいることなの?』



ともくんは、黙って私を見つめてくる。



ともくんの視線から逃げるように

髪で顔を隠し、ともくんを視界から消し

俯く。


きっと、私の心の内を

わかったうえで問い掛けている。


私が自分の力で前に進むために

あえて問い掛けて。



燈妃:『あっくん、あっくんってさ…妃愛も、本当は理解している。朝妃兄が亡くなって、もう会えないことに。』



そうだよ。


あっくんが亡くなっていることは

私、理解しているよ。


ただ、受け入れたくなくて

目を逸らしているだけ。



燈妃:『朝妃兄は妃愛に何を伝えた?自分に素直になりなさいって言ってなかった?』



ともくん…………


あっくんの話しは……したくない。

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