第84話

"俺が死んでた場所、そこに妃愛を連れて行け"




『……………は?何を言ってるの?』




"妃愛が前を進む為に、理解させて。もう

俺が死んでいることを。そこで死んでたこと。

自分の目で確認させて、理解させて。"




『そんなの………妃愛が………辛いよ……』




"辛くても向き合わせて。妃愛は立ち向かえる

そういう子だよ。厳しいことも言ってきた。"




『………………朝妃兄…………』




"連れて行って、向き合わせることができるのは

燈妃だけだ。妃響は優しいからできない。"




『…………妃愛が苦しんでもいいの?』




"いい。それも治療だ。俺は妃愛の笑顔が見たい。

笑顔が見れるようになるには、燈妃の力が

必要だ。妃愛のこと託すよ。燈妃頼むな。"




『わかった。』




"燈妃、大きくなったな。ありがとう。

中学生の妃愛の傍に居てくれてありがとう。"




『…………ッッうんっ………』




"玖賀の家のことも頼むな。"




『わかった。朝妃兄もちゃんと成仏してね。』




"ああ。死んだことは理解してるよ。だから、

あとは妃愛なんだ。玖賀のことは妃響に信頼

置いてるから不安はない。妃響も自分で

気付いて向き合おうとしてる。だから、玖賀は

もう、大丈夫。なんの心配もいらない。"




『わかった。妃愛のこと頼まれる。』

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