第35話

妃響兄………………ありがとう…………。


妃響兄が苦しんでいたのもわかってた。




でも、それは………朝妃兄が居なくなって

後を継ぐことによるものだと思ってた。


違ったんだね…………。




妃響兄は朝妃兄を、俺は竜妃を。


互いに年子の弟のほう。兄に勝ちたいけど

いつも比べてしまって自分を追い込んでしまう。



辛かった、苦しかった。



たった1歳しか違わないのに、竜妃は大人で。



その差に苦しんでいた。子供の頃から

竜妃だけを追いかけていて…


何か挑戦するたびに竜妃なら出来るのに…

自分は出来ないって責めていた。



苦しかった。辛かった。気づいて欲しかった。




妃響:『頑張っていこう。諸々問題は山積みだけど。ゆっくりでいいからさ。頑張ろう。』



雅妃:『うん、そうだね。』




妹のことを、受け入れるということ。



それは、俺が俺自身の弱さと向き合うこと

依存から卒業することから始まる。




妃響:『妃愛はさ、』



雅妃:『ん?妹?』



妃響:『うん、妹。朝妃が死んだ時からずっと

この10年間、朝妃の姿だけを追い掛けてる。』



雅妃:『竜妃も言ってたね…。朝妃兄だけを

追い掛けてるって。そう言ってた。』

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