第33話

偽り………嘘?何言ってるの……?


俺はそんなこと……してない………

って言えたらいいんだろうな……



そうだよ、妃響兄の言う通り、俺は臆病で

怖がり。自分の本音なんて言わないよ。




雅妃:『…………………。』



妃響:『雅妃が今までそう生きてきたのはわかる。竜妃のあと着いて必死だったもんな。

でも、雅妃と竜妃は違うから。同じじゃない。』



雅妃:『わかってるよ。』



妃響:『年子だから必然と意識するんだろうね。俺も朝妃のことすっげえ意識してた。俺の

思いとは違って朝妃はいつも飄々としててさ。』



雅妃:『妃響兄も朝妃兄のこと意識してたの?』



妃響:『意識してなきゃ今の状況になってない。雅妃を見てると、俺自身を見てるみたいなんだよな。朝妃を追い掛ける俺、竜妃を追い掛ける雅妃が重なるんだよ。お互い違う人間って

わかっているのに、それでも追い掛ける。』



雅妃:『うん………。』



妃響:『辛いな〜…苦しいなって思うよ。何で

俺は朝妃の弟なんだろうって。何で年子なんだろうって。朝妃を追い掛けてばかりの自分に

何度も嫌気さしてきた。』



雅妃:『………うん………』

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