第55話

side 拓望



探す。探す。咲美愛を探す。


何かあった時、絶対に小さい頃から

遊んでいた公園に向かう傾向が

ある咲美愛。


ここからはそう遠くない。



もう陽は沈んでいる。


それもそうだ、もう11月も

終わろうとしているのだから。



どこにいるんだ、咲美。



いた。公園のジャングルジムの

上に座って空を見上げていた。



『咲美愛、かえろう』



聞こえてないのか?返事がない。



『咲美愛、みんな心配してる。

家に帰ろう。悪かった。』



小さい頃からこうして俺が迎えに

いって家に帰ったっけ。


逆の時もあったなあ、なんて

思い出す。懐かしい。



『こないでくれないかな』


『1人にしてよ』



咲美愛は泣いていた。

空を見上げて泣いていた。


ここ数年、泣いている姿を

あまり見なかったのに。



何を、言われたんだ。

そんなに泣くようなことを

言われたのか?


確かに父さんは最近、咲美愛に

キツくあたっていた。


そのせいなのか?

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