第26話

『美緒はまだ死んじゃダメなのよ…。』



そう、ポロポロ泣き始めた奈保美。



美緒菜の妊娠がわかってからはずっと


反対し続け彼女も苦しんできた。



赤ちゃんが生まれたいま、赤ちゃんから

母親を取り上げたくない気持ちが

あるのだろう。彼女も助産師だから。



生命が誕生する場面を何度もみてきた。




『美緒菜はお母さんなんだから。だめ。

反対してた私がいえる立場でもないけど

赤ちゃんから取り上げられない。』



『奈保美、赤ちゃんはみんなで育てよう。

美緒菜はもう限界なんだよ。頑張ったよ。

楽にさせてあげよう?これ以上わたしは

苦しめたくないの。ごめんね。』



『お母さん……。』




みんなが答えが出ず泣くだけで


時間だけが過ぎていく。



生きていてほしいけど


生きることができない。




延命を望むか、望まないか。

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