第27話

話し合いは結論が出ないまま時間だけが


どんどん過ぎていき美緒菜の心拍数は


時間とともに低下していく。




家族が美緒菜のそばへ呼ばれる。




もう、その意味がだれも理解している。



あと少ししか生きることはできない。


最後の挨拶をするだけだと。




美緒菜の元へ家族がいく。



『赤ちゃん、赤ちゃん…。』


『赤ちゃん、赤ちゃん…。』


うわ言のようにかすれた声で

呟いている。



『赤ちゃん、赤ちゃん…』




みんな涙をこらえる。

言葉につまり声を出せない。



息子である裕貴が声をかける。


『母さん、わかる?』



うっすら目をあける。


『裕貴…』



『赤ちゃん産まれたよ。

小さかったけど産まれたよ』



『そっか、よかった…』


『うん、うん。よかった。』



『裕貴』


美緒菜が息子にむかって言う。



『なに、母さん』


『赤ちゃんよろしくね』



その表情は覚悟をした表情だった。



ピーーーーーーー



心停止の音が鳴り響く。



『おい!返事してないよ!おい!

目をあけろって!かあさん!

まだ、抱っこしてないんだろ?』



遼平に裕貴は止められる。



膝から崩れ落ちる。



『そんなことくらい覚悟してるよ。

何かあった時育てるって覚悟あるよ』



その言葉にみんな涙する。

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