第25話

『先生。』



『はい。』



『5分でいいので話し合う時間を

もらってもいいですか?』



『わかりました。』




医者と看護師が部屋から出て行く。




『どうしたい?』



強い目で何かを覚悟している


おばあちゃんがみんなに語りかける。




『もう、頑張ったよ、姉ちゃんは。』



『俺は母さんに生きて欲しい!!』




美緒菜の弟である恭吾と息子である


裕貴がそれぞれの意思を話す。




『生きて欲しいけど、もう美緒菜の

心臓は限界だよ。あの子は小さい頃から

心臓は弱かったんだから。もう、とめて

あげよう?美緒菜は頑張ったから。

もう、これ以上苦しめるのやめよう?』



『ばあちゃん、子どもは?赤ちゃんは?

誰が育てんの?母さん抱っこしてないよ。

ダメだよ、まだ生きてもらわなきゃ。』




裕貴の悲鳴に近い叫び声が響く。



誰だって生きててほしいと願って


いるがいまは選択を迫られている。



早く決断するしかないんだ。

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