第15話

なんとか3月を乗り切った。


母のお腹に向かってみんなが語りかける。



『ごめんな、ごめんな。だからまだ

生まれてくるなよ。まだ顔を見せるなよ』



おじいちゃん、おばあちゃんは

毎日神社に足を運び祈る。



『どうか、どうかお願いします。

まだ生まれてきませんように』



『どうかお願いします。お願いします。

まだ生まれてはダメだと教えてあげて

ください。お願いします』



叔父や叔母、そして裕兄夫妻も祈る。



『生まれてきてはいけません。

キミが生まれるのは夏だよ。まだ春

だから生まれてきてはダメだよ。』





(まだ、生まれるには早いよ。)



(夏になったら元気にうまれてきて。)



(みんなそれを祈ってるよ。)

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