第14話
そんなある日のことだった。
1993年3月の終わりのことだった。
母は破水したのである。
すぐさま大学病院へ搬送され
子宮収縮薬の投与、入院となった。
まだ妊娠23週。まだ生まれてはいけない。
肺も心臓も脳も全ての臓器が未熟で
あるからだ。
生まれたとしても生存率は高くない。
母は膨らんだお腹にそっと手を置き
『まだダメだよ、出てきちゃダメだよ』
と泣きながら語り続けた。
母も6人の子を育ててきた。
だからこそ、わかる。
今生まれてしまうとあまりにも
小さすぎる。無事にうまれる保証もない。
医者である母の兄弟もそれは十分に
わかっている。危険だと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます