第87話

碧空に一方的に言って、その場を離れる。



できるものなら、輸血をしたい。


父親が、息子に輸血できないなんて

親としての責任を果たせないことと同じ。



俺は、輸血したいと思っても………

妃響の身体は受け付けない。


受け付けないどころか……

下手したら、死なせてしまう。



二度も、同じ目にあわせられない。



――― ――― ――― ――― ―――



手術が終わったのは、

病院に到着してから、5時間後だった。



パニックに陥りながら

学校が終わってすぐにやってきただろう

煌妃と悠妃は、ずっと泣いていた。



竜妃と雅妃は、


俺に不信感を抱きつつ

煌妃と悠妃を落ち着かせてくれていた。



俺は、何も言えなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る