第86話

「碧空、頼みたいことがあるんだ。」



碧空に頼みたいことは、ひとつ。


碧空の質問に答えず、俺は一方的に

碧空に頼みたいことを言う。



「大輔さんに………連絡してほしい……。

妃響を助けて欲しい。輸血を頼みたいと。」



「えっ?おじさんっ!?

大輔さんって……えっ?おじさんは…」


「おれは……妃響に輸血はできない。

俺の血は…前に、拒絶反応を起こした。

輸血できないんだ………おれのは……」



悠妃を村瀬家に預けた日。


あの日、妃響が刺されて重傷を負った。



輸血直後は、何ともなかったが………

数時間後、ショック状態になり、一時、心肺停止まで陥った。



その後の検査で―――………


俺の輸血による

アナフィラキシーショックだと判明。



俺は、妃響を………

助けてやれることが、できない………。



突きつけられた、現実は残酷だった。

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