第83話

「今、後悔してもしょうがないよ。

妃響兄はまだ生きてる。信じよう。

今までだって生還してきたんだから。」



そうだ、そうだな………。


今までも、妃響は、助かってきた。


今回も………今回も、大丈夫。

危ない状態なんて、きっと、嘘。

何かの間違い……だって、言い聞かせた。



" 大丈夫だよ、妃響兄は…………。 "



竜妃がポツリと呟いたあと

病院に向かう車の中は静かだった。



病院に到着してすぐに、

救命センターに向かった。



" 妃響、妃響……大丈夫だよな…って思いながら……。



待合室に案内され、

すぐに看護師から言われた。



「お父様ですか?

失血性ショックで、心肺停止です。

輸血できる方はいらっしゃいますか?」



輸血…………。


やはり、妃響は危険な状態で…

輸血を必要としていた。



「父さんッッ!妃響兄と血液型同じだろ?黙ってないで……輸血行ってよ…!」



竜妃の声が、耳からすり抜けていく……

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