第81話

「父さん?どうしたの………。

真っ青な顔して……どうしたの……?」



当時23才。


大学を卒業し、就職した竜妃。


その日は、仕事が休みで

自宅で雅妃とゲームをして遊んでいた。



「妃響が…………。妃響が…………

撃たれたそうだ。重傷だって………。」



助かる可能性は低い。


そう、翔平からは伝えられていた。



さすがに、竜妃と雅妃には言えず

容態に関して伏せたが、俺の顔を見て

状況を理解したのだろう―――……。



急いで、準備をして

病院へ竜妃、雅妃と向かった。




病院に向かう車の中で思い出していた。



妃響が生まれた日のことを。




「あのね、あの………ふみくん?」


不安げな面持ちで、俺に話しかけてきた梨絵子。

別れを告げられるのか、朝妃に何かあったのか……悪いことしか考えられなかった。



動揺を隠し、俺は梨絵子に向き合った。



「どうしたの?梨絵子。泣きそうな顔して。」



妃響が、煌妃と悠妃を抱き締めたり

膝に乗せることが癖なように、


俺も、梨絵子を膝に乗せて

抱き締めることが好きだった。

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