第80話

朝妃を亡くして、5年。



元々、跡継ぎには朝妃か妃響を…と

思って2人を厳しく育ててきた。


不器用な俺は、

自分の生い立ちや、菜緒を失った事を

理由に、父親の役割から逃げた。



朝妃と妃響には、父親として接しず

跡継ぎ要因の息子と組長…

という関係で20年以上生活してきた。



何を言っても、

言い訳にしかならないが

妃響との距離感の詰め方がわからず

俺は、父親と息子として生きていく

きっかけを自ら、手放してしまった。



朝妃の死をキッカケに―――………



俺と妃響は


父親と息子ではなく

組長と跡継ぎの関係になった。



「組長、組長、聞いてますか?」


「あっ、ああ―――………

それで、病院は……いつものとこか?」


「そうです。いつものところです。」




妃響が、撃たれた―――………。



動揺を隠しきれなかった。



俺は、朝妃に続いて

次男も亡くすかもしれない恐怖と

戦いながら、病院へと急いだ………

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