第72話

学校カバンを持ち、

リビングを出ていく妃響に「行ってらっしゃい」と言い、見送る。


「うぎゃああああ!行ってらっしゃいじゃないいいっ!ダメっ!だめっ!いやーっ!ひいにいっ!ひいにいっ!ひいにいーっ!」


後ろ姿が見えなくなったことで

より一層、全身を使って暴れ出す。


6歳。小柄とはいえ、全身を使って暴れられたら、結構体力を消耗する。



煌妃が号泣し、

妃響がリビングから居なくなったことで

悠妃も火がつき、大号泣が始まった…



「ひいっ……ひいっ………ひいっ………ひいーっ!居ないッッ………居ないーッッ!」


「悠妃、妃響は学校。行ってらっしゃいだよ?」


「いやーっ!いやーっ!だめーっ!がっこ、だめーっ!」



" 学校は行っちゃだめっ! " が



煌妃と悠妃の主張で。


このやり取りが、

平日の間は毎日行われていて早い時は30分。時間がかかる時は1時間以上。


煌妃と悠妃との格闘が続く。



「ひいにいーっ!ひいにいーっ!ひいにいーっ!ゴホッゴホッ…オエッ……ゴホッゴホッ……いやだーっ!」


泣き叫びすぎて、咳き込むのも日常。



煌妃と悠妃は、喘息の持病があるからなるべく泣かせたくない…のが本音。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る