第71話

「ん〜……煌妃、どうしたの?」


いつも以上に、泣き叫び号泣。

妃響から離れようとせず、しがみつくように抱っこされている。



「ううっ………ぐすっ………ぐすっ………」


煌妃の背中を摩り、落ち着かせる妃響。


その姿は兄弟でもあるけど

若パパと息子の関係にも見える。



「あっ、携帯鳴ってる………」


恐らく、チームメイト……

碧空か、郁希からの電話だと思われる。


朝によく電話かかってくるしな。



今日は、煌妃が離れないから

電話に出るのはやめた、妃響。

煌妃を引き離さないとだめか………。



心を鬼にして、妃響と煌妃の元へ行く。



妃響に声を掛けたら、

煌妃は気付いて泣き叫ぶから

アイコンタクトで、妃響に合図を送る。


頷いたのを確認して、近寄る。



「兄ちゃん学校だ!行かなきゃ!」


と、言い立ち上がった妃響に

抱かれた煌妃を、妃響から引き離す。




「うっ、うっ………ぎゃあああああ、やーだーっ!やーだーっ!いやーっ!いやーっ!ひいにいーっ!いやだーっ!」


手と足をバタバタさせ、顔を真っ赤にして号泣する煌妃を抱き上げる。



大号泣の煌妃と、

泣きそうになっている妃響。



早く行け!と、視線を送る。

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