第70話

「ほら、悠妃。お着替えっしよっ?」


どうやら、今は穏やかな朝妃。



「いやーっ!やだーっ!」


朝妃だと、認識している悠妃が怯えながら、「やだやだ」言って、泣いている。


いつも、着替えさせることも

保育園の準備をすることも、大変。

泣いて、叫んで。大号泣なんだよな……



「お着替えできる人ーっ?」


「でぎないいいいっ……」


「お着替えいやや?悠ちゃん。」


「いややーっ。ぐすっ……ぐすっ……

いがなぃぃぃぃ………ひいにいーっ!

いやーっ…………!!」


等々、妃響の名前を叫び始め

床に顔を伏せ、号泣。

時々、床に頭を打ちながら、「行かないっ!」と、叫んでいる悠妃。



そんな悠妃を抱き上げる、朝妃。



「んあっ!いやーっ!いやーっ!」


今は、悠妃に手を上げる心配は無さそうだから、俺は黙って二人を見る。



「悠ちゃん、お着替えできるかな?」


「できないーっ、いかないのっ!

お家に居るのーっ!やだあああああ!」



朝妃の腕から、逃げ出しながら

「いや、いやっ!」と言い続ける、悠妃。



悠妃は時間がかかりそう………

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