第68話

「んー?煌妃、甘えんぼさん。」



妃響に抱っこされたまま、

離れようとせず、10分が経った。



6才の煌妃。


体重は17kgと平均より少なめで

食事量も少ないからか、増えない。


ここ数ヶ月は、増えるどころか

減る一方で。子育ての不安になっている。



梨絵子は神経質で、少しでも平均と違う値がでたら、悩んで、自分のことを責めてしまう傾向があった。


俺は、うんうんって聞きながらも

「いずれは、大きくなるんじゃないの?」と思っていた。



「ううううっ……うううっ………」



今日は、いつにも増してグズグズで。


妃響に抱っこされながら、泣いて。

離れようとせず、しがみついている。



「んあーっ!あーっ!ゆーひもっ!」


煌妃を10分以上抱っこして、

悠妃はずっと、妃響の足元に抱き着き

床に顔を伏せ、号泣している。



いつもなら、「早く行くぞ」と

言い出す朝妃が何も言わずに

じーっと煌妃と悠妃のことを見ている。

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