第48話

「俺と朝妃には、父親らしいことしてくれなかったけど。妃愛にはしてやって。

妃愛は、母親の愛情を知らない子。」



そうだな。


妃愛は、母親の愛情を知らない。

父親の愛情も知らない子だ。



「朝妃と俺の子育てで後悔あるなら

その後悔を、妃愛にぶつけてよ。

父さんが朝妃と俺にしたかったこと。」


「朝妃と妃響と妃愛は違う。」



息子と娘という違いだけでない。


誰かの代わり、など存在しない。


菜緒の代わり、朝妃の代わりなど

誰にも代わりはできない。



「わかってるよ、俺達と妃愛は違う。

でも、父さんの子供には変わらない。」


「………………。」


「愛情に違いはないでしょ?」


「ないが……………。」



妃響は、俺の事を


" 父さん " だと思ってくれているのか?


何気ない会話だったけど

妃響から " 父さん " って呼ばれるのも

父さんだと思ってくれることも。


俺の長年の夢だった。




妃響は俺を父さんだと認めてくれるのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る