第46話

聞かなかったことを後悔した。



もしかしたら、と。


もしかしたら…妃愛に。娘に。

何かしらの影響があったのか?と。



俺は気になって、仲野家を訪ねた。

妃響も一緒に。



お義母さんは、俺たちが来る事を

わかっていたらしく―――…

「よく来たわ。史哉くん、妃響。」

と言って、出迎えてくれた。



そこで、言われたのは。


梨絵子にとっても、妃愛にとっても

辛い事だった。

なぜ、なぜ…と。見て見ぬふりをした俺が馬鹿だったと。



" 梨絵子は娘を愛せなかったのよ…。

菜緒ちゃんも、ひめちゃんも。"


" ひめちゃんは、幼いながらにして気付いていた。癌で苦しむ梨絵子を怖がってた。"



もしかしたら―――……



死んでくれて、ホッとしたのかもしれない。と、お義母さんは言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る