第39話

「もう、いいわ。」



それだけだった。


目を覚まして、妃響と会話したのは

その一言だけだった。



次の日、面会に行ったら―――…



「認めた人以外、立ち入り禁止」


という文字が書かれた札が

妃響の病室の扉に貼られていた。



どういうことなのか―――…。


主治医に確認したら

「治療に影響するから、面会謝絶」と

本人から希望があったと説明を受けた。



目の前が、真っ暗に染まった。


何も考えられなくなった。



これが、妃響の本心だと。


俺が妃響にしてきた、仕打ちだと。

その時に気付いた。

接し方を間違えていたと。

素直になるんだった……



そんな後悔をしても、もう遅い。



妃響は帰ってこなくなった。

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