第36話

「親に向かってなんだその口の聞き方はっ!」


反抗的な態度を、とる妃響に対して

怒鳴ってしまった俺がいけなかった…。


不安気に見つめる、竜妃、雅妃。

ふたりの目の前で、言い合う必要もなかった。見せてはいけなかった。



「親じゃねえだろうがっ!」


その言葉に、俺の何かが壊れた。


ハッとした時には―――…

妃響の胸ぐらを掴み、引っぱたいていた。

妃響の頬が赤く腫れていた。



「妃響っ!」


朝妃の手を引いて、出ていこうとする

妃響を呼び止めだが、遅かった。



「あー、そうだっけ?

俺と朝妃はアンタらの子供じゃなくて

子育て要因なだけだっけ?

だったらいいよ、出ていってやる!」


「違う!待て、妃響っ!」


「俺の名前を呼ぶな!触るなっ!

息子と思ってねえくせに。ただの跡継ぎ要因にしか思ってねえくせに。

こういう時だけ父親ヅラか。最悪だな」




何を言っても、妃響には響かなかった。

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