第19話

妹の将来に対しての不安が生まれた。


生きることができても、親はいない。

恐らく、仲野で育っていくと思う。

でも、父親を知らないまま生きていくのか?

お父さんはって思う時が来るんじゃないのか?



色々、考えて。考えて………



時間の許される限り。


俺が、父親代わりになろうと決めた。

妃愛の兄じゃなくて、父親代わりに……



妃愛。


お兄ちゃんでもあるけど……

お父さんにもなるからな。


だから、生きてくれ。

まだ、死ぬには早い。

生きて、生きて、幸せになってくれ……



「妃愛………がんばれ………。」


ベッドに寝ている、妃愛の手に

俺は指を差し出す。

握ってくれるか?妃愛。



小さな、小さな妃愛の指は

俺の人差し指をギュッと握ってくれた。



俺がまだ、お兄ちゃんとは…

認識できていないだろうけど、


確実に、妃愛は指を握ってくれた。



生きてる。妃愛は生きてる。

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