第17話

夜の8時を回った頃……


そろそろ親父、妃響があやし出すと

思って、「帰る」と伝えて家へと帰る。



母さんは頑なに―――……


「言わない。言わないで、誰にも。

史哉くんに知られたくない…。娘は要らないって言うの。お願い、お願い…1人で育てると決めたの。お願い、朝妃………」



親父に頼ろうとはしなかった。

「娘を必要としてない。」その言葉が現実味があって。


言わないほうが―――……

母さんと妃愛の幸せに繋がるなら

黙っていようと、心に決めた。



それは、俺が死ぬ時まで。


一言も、娘が居るとは言わなかった。



下手に、漏らしてしまって

母さんと妃愛が傷付くのも怖かった。



母さんはまだいいとして。



妃愛は―――………


父親に望まれていないと知ったら……

確実に傷付く。




幸せを求めるなら、黙っておく。



俺は、最善の方法だとその時は思っていた。

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