第16話

病院までの道を急ぐ。


連絡があったわけではない。

ただ、ただ、会いたいと思った。

まだ、話す事はできないけど。

俺が抱っこすると泣き止むことも増えてきた。



兄だと。


お兄ちゃんだと。


認められる…受け入れてくれる…

そんな、気がしたんだ。



病院に着いたら、母が待っていた。


連絡してないのに、どうして?

なんて、思ったが……

碧空だろう。碧空が教えたと思った。



「朝妃!朝妃!妃愛が……妃愛が………

一時的に心臓止まっちゃったの…どうしよ……どうしよ………」



恐れていた、事態だった。


熱性痙攣を起こして、

入院したのはいいが―――……


心臓の状態が悪い。もしかしたら、

風邪、熱が要因となって急激に悪化

する可能性があると説明を受けていた。



大丈夫。大丈夫だと信じる。




「信じよう。信じよう。

父さんの子供だろ?生命力はあるって。」



自分にも、言い聞かせるつもりで

俺は、祈り続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る