第14話

「…………しんじる…………。」


「しんじる……」と呟いた母は、泣いていた。俺は、何がなんだかわからなかった。


泣いている、母。

腕組みして、集中治療室の前で腕組みしたまんま、怖い顔をしてる、大輔さん。

何もわからず、呆然と立ち尽くす、俺。



何時間か経って―――………



「朝妃、学校だろ?

おまえ、休むわけにはいかないだろ?

送ってく。帰る準備しろ。」


「わかった。」



大輔さんに声をかけられて、

学校があることを思い出した俺。


今日はテスト初日だった。

テストのこと忘れてた……妃愛のことで、頭がいっぱいで。

落ち着くことなんてできなかった。



母さんに、「帰るね」と声をかけて

家に帰る。俺の方に視線を向けて、頷いただけで、何も言わなかった。




母さんの気持ちは揺らいでるのだと

俺は―――………この時思った。

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