第12話

「離婚してシングルマザーで

産んで育てるって決めたのは梨絵だろ。

なんだ?どうしよ、どうしようって。」



大輔さんが、母さんを叱りつけた。



「…………ッッ………お兄ちゃん………。」


「そんなに、不安がるなら、梨絵。

なんで、史哉と別れる必要があった?

史哉も梨絵の苦しみもわかってるよ。」



父さんと母さんの苦しみ……?


大輔さんは、なんのことを言ってる?


悠妃のことかな?って一瞬思ったけど、もっと根深くて…暗い闇のような…苦しみを抱えているのだと、気付いたのは……


母のヒステリックな叫び声だった。



「史哉くんは、ふみくんは……

妃愛を愛してくれることはないっ…。

ずっと、菜緒なの。菜緒しか要らないの………。」


「菜緒……ね………。」



母の涙と、

苦しそうに「菜緒」と言った大輔さん。


家にある、仏壇に飾られている…

3歳くらいの女の子が浮かんだ。



その子が、菜緒ちゃんなのか?

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