第81話

妃愛:「わたし、生きてていいのかな。」



ぼんやりと朝妃の仏壇を見つめては

ポツリ、と呟いているのもよく聞く。



妃愛自身の気持ちの中に

今でもお母さんを奪ってしまった…

お母さんは本当に私の事を必要と

していたのか――疑っている。


誰かを――信じることができない。



妃愛:「ごめん、ね。」


2週間後に入院が決まっている。


手術を受けるためである。

だからなのか、ここ数日は情緒不安定な

日々が続いていて、よく泣いている。



――――本当に生きていていいの?


自分は生きていていいのだろうか。


誰かの力を必要としてではないと

生きていけない、自分は本当に……

生きていていいのだろうか。



妃愛は自身の気持ちと葛藤している。



俺は伝える事しかできない。


妃愛は生きていていいんだよ。

誰かの力を必要としていいんだよ。

玖賀の――家族なんだから

迷惑とか思わなくていいんだよ。



伝える事しか……しかできない。




あまりにも無力だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る