第79話

妃愛:「何でもないよ。眠れなくて、ここに来ただけ。心配しないで。」



母さんと朝妃が亡くなってから

仲野の家で気を遣った生活を

10年以上送ってきた妃愛。


癖になっているのか

明らかに大丈夫には見えないのに

「大丈夫だよ。」そう言って無理に

笑おうとする。


マンションで暮らしていた時も

同じだったが――以前より増えた。



玖賀の家で住むことは

妃愛にとって辛いことなのか……


俺も日々悩んでいる。



煌妃と悠妃とは――違う性格。


そして、思春期の女の子。

朝妃が大好きな妹。


接し方が難しい部分が多い。



妃愛:「ひいくんは?寝ないの?」


妃響:「妃愛が起きてると思って。居るかなって思ってさ。降りて来た。」


妃愛:「……ッッ…………ごめん……。」



謝られることも増えた。



最近、本当の妃愛の笑顔を

見たのは――いつだったか、思い出せない。

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