妃愛の涙

第78話

side 妃響



―――― また、一人で泣いている。



妃響:「ひーめちゃん。」



時刻は深夜の3時過ぎ。


朝妃の仏壇がある部屋に

小さな明かりをつけて、佇む妃愛。


妃愛が玖賀の家に住むようになって

早くも4ヶ月が経った。

決まって――同じ日に泣いている。



妃愛:「…………ッッひいくんっ……」



泣いてる姿を見られたくなかったのか

パジャマで目を擦り、泣いてたことを

隠そうとする妃愛。


決まって、同じ行動パターンである。



妃響:「どうした。何か思い出した?」



事故の後遺症であんまり朝妃との

記憶がない、妃愛。


思い出そうと頑張る姿をよく見るが……

精神的負担が強くて、頑張りすぎて

失神……倒れることが増えた。


そんな、妃愛のことが心配で

俺と燈妃は……不安な日々を送る。



――――思い出させない方が

やはり良かったのでは――ないか。



妃愛が苦しむ姿を見て

そう、思うことが以前より増した。

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