第89話
「妃愛のこと。」
「っっ、は、はいっ。」
今日、一番話したかったのは娘のこと。
娘の彼氏ではなく、結婚できる年齢になったら二人は入籍して正式な夫婦になるだろう―――…
あと数ヶ月もしたら親になる。
「悠太くんはさ、妃愛から妊娠告げられてどう思ったの?」
「どう…ですか。素直に嬉しいでしたよ。……でも、避妊…に失敗したと、思って妃愛さんのご両親の顔が浮かんで申し訳ない気持ちでいっぱいでした。」
「まあ、うん、わかるよ。
俺も…奥さんから妊娠告げられた時、避妊に失敗…って思っちゃったから。
あれから、18年……今度は俺が父親の立場でかつての自分と同じ立場になるって思って無かった。」
「は、はい―――…」
「俺は、複雑な家庭で育ってる。
四つ子は愛梨の親のサポートの元、育児をしてきたんだ。悠太くんは?
この先、どうしようと考えてる?」
「父親は、僕が末っ子ですし、孫ももう居るんで孫育ては任せろ!と言ってくれてます―――…。でも……。
お嬢さんのご両親に謝罪とこれからのことを話したいって言ってます。」
「……そっか。」
謝罪とこれからのこと、か。
「悠太くんは、宏樹さんの息子さんでしょ?」
「え?えっと…はい、そうですけど。」
「俺が愛妃を作る前。蒼空に居た。
そこで宏樹さんにはお世話になってる。
もう何年も会ってないけどね…。」
「父親は確かに…蒼空に入ってたと言ってましたけど…面識あったんですか!
あ、でも―――…。父親は息子が仕出かしたことだから、早く謝罪して、
生活のサポート体制のことを…って。」
「うん、わかってる。
近いうちに、奥さんと伺わせて貰うね。
家は…昔のままかな?
中野区だよね?宏樹さんが跡取るとか聞いてたから。」
「はい、合ってます。
祖父母とかと暮らしてますね。」
「うん、わかった。
悠太くん、予定聞いといて。
俺も愛梨と予定合わせるから。」
「はい、お願いします。」
未成年、高校生活同士の妊娠。
親のフォロー無くては生活できないだろう。悠太くんの両親との話し合いは必ずしないといけないことだ。
妃愛の負担を減らすためにも俺がしっかりしないとな…って思うが…。
まだ、娘の妊娠を受け入れられていない俺は中途半端な生活が続く。
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