第87話

side 朝妃




仕事でミス、ミス、ミス……からの父親との大喧嘩。

言い合いが止まらなくてつい、口走ってしまった。

「俺が実の息子じゃないのが嫌ならさっさと突き放せよ!息子に思えねえんだろ?俺の父親は永城優哉ひとりだけだ!

アンタは育ての親にしかすぎない!

息子に見れないから厳しくして、俺に出ていってほしかったんだろ?

今すぐにでも、ここ辞めてもいいけど。」と言い放ったのが数日前。



父親は「そんなこと思う訳ないだろ!仕事と息子とは別だ!

今は朝妃がミスが続いてるから悩んでることがあるなら、休養なり、相談なり乗るぞって言ってるんだよ。」

と、父親なりに俺を心配してくれてるのがわかった―――…



けど、俺は止まれなかった。



「そんなこと言って…俺の事息子とは思ってねえくせに……。」と言って、呼び止める父親を振り切り、会社を早退した俺。


合わせる顔が無くて、欠勤すること1週間。



あっという間に時間は過ぎ、

妃愛のことも、自分の仕事のことも中途半端の状態で自分に嫌気が差している。



妃愛は、重症悪阻で入院かつ、

切迫流産の状態と診断されて絶対安静の入院生活を送っている。



毎日、愛梨は仕事をしながら妃愛の面会に行って様子を教えてくれて、

悠太くんも毎日行ってると教えてくれた。



止まってるのは、俺だけ。




情けなくて、泣きたくなる。




頭を冷やそうと、このままではいけないと…と思い、数年ぶりに倉庫に行く。





悠太くんとはじめて向かい合って話すためだ。



弟の煌妃や悠妃通して、玖賀家で顔を合わせてるし、何度か話してるけど

妃愛の父親として話すのは初めてのこと。




びっくりだろうな、悠太くんも。





チームメイトの煌妃、悠妃のお兄さんで創設者の俺が妃愛の父親ってこと。






妃愛が告げた時、絶句してたって愛梨から聞いたしな―――…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る