第86話
side 悠妃
―――……数日後。
今日は倉庫でそれぞれ好きなことをしてまったりとした優雅な時間が流れている。
総長で年子の兄、煌妃兄は大学受験がうんぬんかんぬん言いつつ、
後輩の面倒を見るために倉庫に来ている。
塾はいいのか?と思うが、決めるのは煌妃兄の自由だから僕は何も言わない。
そんな、時だった。
幼なじみの莉音が「悠太に用事だって。」と言って、僕と煌妃兄を見たあと
「朝妃さん…きてる、なんか、話しある…って。」と、戸惑いながら言ってきた。
朝妃兄…?妃響兄や蒼哉兄、看護師をしている姉の菜緒姉なら、まだしも…
朝妃兄がなんの用なんだろう…?
「莉音、ありがとう。
ん、じゃあ俺は帰るから。
何かあって連絡してもすぐには来れないと思う……煌妃さん、帰りますね。」
「うん、ん……わかった。」
朝妃兄のことで両親も妃響兄も悩んでいることを僕達は知ってる。
朝妃兄も口には出さないけど、なんとなく両親や僕達から距離を置いている。
朝妃兄の父親がお父さんの双子の兄だと知ったのが、僕が中学卒業の時。
だからか、って納得したのは。
お父さんが朝妃兄との関係で悩んでる姿は日常的で。
お母さんも朝妃兄のことを心配して仕事の様子だったり、どこに帰ってるのか聞いたり、心配で堪らない…ってことを僕達兄弟全員知ってる。
別に、父親違いの兄弟とか気にしないけどな、って思うけど…。
幼い頃、朝妃兄の荒れ狂う姿を見てきた僕には正直、どう関わっていいのかわからない、って思ってる。
朝妃兄は、実の父親の兄弟や甥っ子とは頻繁に会ってるらしい。
僕達は?―――……ほとんど会う日がないし、避けられてるんだろうなって思うこともある。
" このままは嫌だ!! " と泣くお母さんの姿を見るとなんとか修復できないかな、って願ってる。
僕が動いても、朝妃兄にとっては邪魔者にしかならないだろうなって思って行動に移せない。
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