第70話

「落ち込むんじゃねえ!バカ!

あんた以上に繊細なんだよ!父娘揃って同じことしようとして!バカ!

お互い嫌われに行くなんて、バカ!

妃愛はアンタに捨てられにいこうとしてたの!」




捨てられに……いこうとしてた?




どうして。




俺は、どう妃愛との関係を築いていくか悩みながら探してた。

関われる方法を。話せる方法を。





「いい加減、いれてあげなさいよ。

史哉。ママの連れ子枠ではないでしょ。

アンタの実娘なのに、なんで史哉が逃げるのさ。」




逃げてなど居ない……!と言えないのは心当たりがあるから。

「…………。」



俺は、向き合うことを恐れてる。




「賢いけど、天然、臆病でもあるの。

私たちも壁作られてるけどね?妃愛の中でラインがあるのよ。」



「…………そうか。」





娘は帰ってきてくれるだろうか?




俺のことを覚えててくれるだろうか?






後遺症が残らず助かってほしい……









妃愛、帰りを待ってる。








パパは、妃愛の帰りを待ってるから。

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