第69話

***




甥っ子が来て数日。



急な仕事が入って1週間滞在の予定が4日で慌ただしく帰って行った。

久々の人との交流は疲れたけど、少しだけ楽しかったともいえる。




「史哉っ!聞いたよ!」



「うざい。何しにきた。俺は用がない。

家に来るなら姪っ子のとこに行け。」




俺には姉が三人と妹が一人いる。



みんな関東近辺に住んでいるから、定期的に会ってるし……というか、姉たちが俺に会いに来る。



ベラベラ喋って帰るのがいつもの流れ。





「あんた繊細だもんね。」



「は?」



「アレでしょ?ひめちゃんは私や麻紀とは違うんだからね?

妃愛ちゃん自身と向き合いな。私たちは傍に居るじゃない、大丈夫よ。」



「…………は、何が大丈夫だ。」





俺のなにを知ってるんだよ、姉は。




別に、姉と妹のことでなんか苦しんでねえのに、確信してるみたいな言い方されるのは不服。





「史哉、ひめちゃんはアンタに自分自身を見てほしいってわからない?

なんで、家を出ようとしてたか知ってる?」



「家を出る……やっぱり……」






やっぱり……そうなんだね。






玖賀には居たくないってことか。

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