第67話

「史哉さん。覚えてません?この公園。」



「覚えてる……?は?妃愛とも奥さんとも来てない。車に戻る。」




もう、いいよ。



これ以上惨めな思いは嫌だ。わかってた。

娘が俺を父親だと思ってないことも、優哉を超えられないことも。




" たくさんの小さな思い出 "




ママと優哉と美咲ちゃんと4人で過ごした日々が幸せだったんだよな……?




ごめんな、妃愛。



引っ越しさせて。無理に関東に呼んで。




俺は、奥さんと離れ離れが辛くて近くにいて欲しくて……再婚したくて。

必死になって、ごめんな。





「ここは、親父と史哉さんの思い出の場所なんじゃないんですか?

小学校入学前、親父と史哉さん、利樹さん、麻紀さんで遊んでた場所ではないんですか?」



「…………。」



「ここはわたしの2人のパパの思い出の場所だから、ここに来たら何か感じられるかなって。

なんで優哉くんだけ覚えてて、パパは覚えてないのかな?って言ってる。」




覚えて……ない?




ここが優哉と利樹と麻紀と遊んでた場所……?なのか?遊んでた……。





「親父、妃愛が生まれてからすぐ、梨絵子さんの反対押し切りながら二人でここ来てたんです。

パパとおじさんと妃愛の場所だって、親父は教えてたみたいなんですけど、覚えてませんか?」






思い出の場所はとっくに―――……






封印していた。








優哉は覚えていたのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る