第64話

優哉の息子が運転する車は山道へと入っていった。




なんで、山?



気になる場所ってどこだろうか。




行き先を告げられず、ただただ揺れる車から景色を見る。虚しい。



こんなはずじゃなかったのに……



妻と娘が関東に帰ってきてくれたとき「絶対に幸せにする。」って誓ったのに……妻は……娘は……。




2人とも俺の隣には居ない。




再婚しなければ良かったのか?



再会した時、何がなんでも妻とやり直すって決めた俺が愚かだったのだろうか?




娘の気持ちを置き去りにして、

俺は家族になろうとしたんだよな……

妃愛、ごめんな。

「パパになってもいい?」って聞いて。




妃愛のパパは " 優哉 " だったもんな?




急に、本当のパパが現れたからってパパなんて思えないよな……ごめん。






妃愛、ごめん。






涙を拭っても涙は止まらない。

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