第42話

それから数時間、蒼哉も妃響も合流して抱っこされている子どもの取り合いが始まった。




俺が抱っこする、俺が、俺が…って子どものような取り合い。




俺は現実を受け入れられてないのに息子達は何とも思ってなさそうな感じがしてひとり取り残されてる感覚がした。





この子はダレ?




優哉…との子か?優哉と美咲ちゃんの子?



それとも、離婚したあとにできた子どもかって思って落ち込んだ。




そりゃ、そう…だよな。



離婚して5年。もうすぐ6年。



その間、一切連絡取ってなかったし、元妻が離婚後どこに住んで、どんな暮らしをしてるか、俺は知らない。




恋人のひとりやふたり…できててもおかしく…ないよな。





親権を譲らなかったのは、俺で。




俺は子育てと仕事に明け暮れてたのに…って思うのもおかしい、よな。






元妻から子どもを奪ったのは、俺だ。






現実についていかない頭と心。





子どもを取り合う息子たちと宥めながらも嬉しそうにしてる元妻。







そんな中で、娘は目を覚ました。

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