第41話

「母さんっ!……やっぱ、乗ってたの?」



「朝妃……うん、一緒にね…。」




目を見開いた。



離婚して、連絡とれなかった元妻が目の前に居た。

愛して、愛してやまない妻が…そこに居た。夢かと思った。




―――……抱っこしてる子を除いて。





「良かった。無事だったんだ。

母さんっ、抱っこさせてよ。疲れたでしょ?蒼哉と妃響で見るからさ。休んでいいよ?」



「ううん。いい。朝妃も疲れたでしょ。

優哉くんと美咲ちゃんに会った?」



「うん。会ったよ。」




俺は何も動けないのに、朝妃は動揺もせず話していた。



俺はこんなにも動揺してるのに……「なんでお前は普通に話してる?」って言いそうになった。




気まずそうな俺と元妻。




先に目を逸らしたのは元妻のほうで寝ている子どもを抱っこしたまま優哉の元へと去っていった。






何も言えなかった。

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