第33話

「モラハラっておまえ……なあ。

俺も必死なんだよ、クソガキ。

なんでもかんでも自分で決めちゃって?挙句ひとりで抱えて?

このバカチビクソガキ。」



「ガキガキ言うなっ!クソ兄貴!

わたしもう高校生だよ!」




お兄ちゃん達はわたしをよく見てくれてる。




「妃愛。おっ、起きた?おはよう。」




ママとわたし、ふたりで船から逃げてわたしたちは助かった。

わたしはずっと「優くんっ!優くん!美咲ちゃん……美咲ちゃんはっ!?」って言って泣いてたらしい。



お兄ちゃん達の取り合いの末に

最初は当時高校生だった朝妃兄が勝って、わたしの抱っこ券を得たらしい。

目が覚めた時、わたしと顔がそっくりな妃響兄が抱っこしてくれてた。

お互い見つめあったまま、妃響兄に抱っこされて固まって、号泣した。



優くんの名前を叫びながら眠ってしまったとママから聞いていた。




「……………。」





初対面の時のこと覚えてる。




お兄ちゃんはとにかく喧嘩して、うるさくて、頭が痛くなったんだ。

「貸せ」「よこせ」「妃愛が俺を見た!」って言ってるの聞いていた。



なんなんだ、このうるさいひとたちって思ったのがはじめの記憶。




あの日から12年以上経ったけどうるささはあの頃と変わってない―――……。





「おい、ちび聞いてんのか?あん?」




「聞いてるよ、うるさいなあ……。」





本当にうるさい。




中でも、妃響兄は特にうるさい。





まあ、それだけ気にかけてくれて細かく見てくれてるから照れ隠し。

「嬉しい」って思ってるのはナイショ。

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