第31話
「妃愛が海ひとりで来てるの知ってた。
知ってたけど…何も言えなかった。
妃愛と優哉さん達の思い出あるし、俺たちは姉ちゃん達の思い出がある。
お互いに踏み込めなくて、ごめん。」
「ううん、お兄ちゃんは悪くない。」
なんとなく似ている気がしてた。
わたしが優くんの思い出を忘れないようにしたかった理由と
パパとお兄ちゃん達がお姉ちゃんとの思い出を忘れないようにしたかった理由。
「バカ妃愛。強がんなよ、ちび。」
「強がってないし……」って言ったものの、泣きそうになる。
お姉ちゃん、会いに来れなくてごめんなさい。嫌いって思っててごめんなさい。
何も知らなくてごめんなさい。
" 代わり " だと思ってきたから、
わたしの家族はママと優くん、美咲ちゃんだけだって思ってきた。
" 偽 " の家族の中に居ることが辛くて、代わりだと気付いた時から、ママとふたりで暮らしていけたら良かったのに……って思うようになってた。
「海難事故に遭った日、母さんと妃愛が助かって良かったって思ったんだ。
俺たち三人で、妃愛の味方になろうって誰も口に出さなかったけど阿吽の呼吸だった。」
「うん。」
「やっと会える……って思ってたのに、運命って残酷だよなあ……。
俺たち……みんな大好きな海で優哉さんと美咲さんは亡くなった。
俺は、海が嫌いになったよ。大嫌いにね。憎いわ。」
好き……じゃないの?海……
蒼哉兄と朝妃兄とよく行ってるって思ってたんだけど、ちがうの?
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