第30話

***




「ん、ここだよ。」



「え、ここ……。」




いつもわたしが辛くなった時に来る海。



海の近くにお墓が建てられてるの知ってたけど、お姉ちゃんのお墓あったの?

1回、行ったことあったかな?

再婚する前に一度、パパとママと来たことあるような、ないような……

記憶が曖昧だなあ……。




「佐倉結妃……佐倉賢人?帆波?

佐倉汐莉…………?だれ?」




聞いたことない名前がある。



結妃……結妃ゆいお姉ちゃんが居たのは知ってる。

多分……21個くらい上のお姉ちゃん。

20歳の時に交通事故に遭ったとパパから聞いていた。



でも、家に仏壇ないから不思議に思っていたんだけど……

お姉ちゃん、結婚してたんだ。

子どもも居たんだね……会ってみたかったな。お姉ちゃんと姪っ子に。




「結妃姉の旦那と二人の娘だよ。

帆波ほなみ汐莉しおり

帆波は死産で……汐莉は結妃姉と賢人くんと一緒に自動車事故で亡くなった。」



「え?自動車事故……。」





交通事故……って……交通事故って聞いてた気がしたけど……

交通事故に入るんだけど、自動車事故だったんだ……おねえちゃん。




「ごめんな……妃愛。

パパもお兄ちゃん達も話せなくて。

妃愛を苦しめないように……って。お姉ちゃん達のこと話すの避けてた。」



「うん。」



「妃愛、お姉ちゃんにお線香あげれる?」



「うん、いいよ。」





お姉ちゃん、やっと会えたね。




どんな人なのか、どんなお姉ちゃんだったのか気になってて……

わたしはお姉ちゃんの代わりだからって思ってきてた。



今も思ってる。






お姉ちゃんの代わりになれなくてごめんなさい。って……思ってきた。

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