第18話

「妃愛、パパに挨拶させてほしい。」




挨拶?なんの挨拶?



パパの言っている意味がわからなくて真意を知るためにパパを見る。

優くんに何を挨拶するの?




「妃愛のパパですって、優哉に言いに行きたいんだ。」



「毎年行ってるじゃん。わたしとは別で行ってるの知ってるし……その時に言えば良くない?わざわざ……『妃愛、優哉はパパだ。だから、俺は妃愛のパパになりましたって妃愛と挨拶に行きたい。』……は?」




意味が分からない。



そんなの勝手に言えばいいのに。

ママと再婚した日からパパはわたしのパパになったんだから好きに言えばいいのに……遠慮なんてしなくていいのに。





「妃愛は、パパに気を遣わなくていいんだよ。優哉は妃愛のパパだったんだろ?

優哉が大好きだった……それでいいよ。

忘れろなんて思ってない。」




優くんはパパみたいな存在で。



いまも、わたしの胸の中で優くんと過ごした日々は大切な思い出になっている。




「…………。」



「妃愛が過ごした四年間を封じ込めなくていいんだよ、言えなくてごめん。

パパ、怖かった。妃愛に優哉がパパが良かったって言われることが怖かった。」





怖かった……って思っていたんだ……。





「でも、パパも妃愛のパパだから。

パパのこと嫌いでも、妃愛にはパパがふたり居るんだよって思ってほしい。」



「………ん、わかった。」





パパにも、優くんにも申し訳なくて。




わたしがパパだと思ってきたのは優くんひとりだって思ってた。

でも、パパは……真剣に、真っ直ぐに……義務だろうって思いながらも、わたしと向き合ってくれた。




少しづつ、パパって思ってもいいのかな……って思ったりもしていた。





優くんをパパって思いながら、もうひとりパパって思うことがいいのかな?って迷いがあったんだ。

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