第5話

わたしはママが離婚したあとに授かった訳ありの娘。



はっきりとした離婚理由は知らない。

女性関係ではないと思うけど、パパからもママからも聞かされたことがないから本当のことは知らない。



身ひとつで玖賀家を出たママは学生時代に働いていたキャバクラで置いてきた息子達の養育費を稼ごうと働きはじめて数ヶ月した時に、妊娠が発覚。




ママの人生の計画は狂ってしまったと思うけど、ママは愛情を注いでくれた。




わたしには、第二のパパがいた。

パパの双子のお兄さん。

ママとパパが別れたことを聞いてヨリを戻すように何度も説得してきたらしい。頑なに首を縦に振らなかったママ。



私から見て父方の叔父さんは第二のパパで4歳の時に海で亡くなった。

その日はママと優くんとわたしの四人でフェリーに乗って旅行に行く途中で。


走行不能になった船の中で優くんは

「梨絵ちゃん、妃愛を連れて逃げろ!幸せになるんだ!史哉の元にかえれ!」と言ってわたしとママを突き放した。





「…………ッッグスッ……グスッ……

ママッッ……優くんッッ…………。」





大好きだった。ママも優くんも。




ママがお仕事の時、優くん夫妻に預けられていたわたし。

わたしの第二の家族だった優くん夫妻。





だいすきだった―――……。





当時の記憶はないけど

『妃愛、幸せになれっ……ずっと見守ってる。愛してる。』そう言ってくれた言葉だけは、覚えてる。






運命は残酷なもので。






優くん夫妻の訃報を知ったパパとお兄ちゃんはママと久々の再会を果たした。







そこでパパもお兄ちゃんも

はじめてママに娘が誕生したことを知ったんだ―――……。

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