第4話

桜都おと…」


「笑菜‼︎ 大丈夫⁉︎ ケガは⁉︎

何で手、指なんかピアノなんかどうだっていいんだ、ばか…」



駆け降りてきた詩楽うたが私を抱きしめると後ろで何も言わず、離れていく桜都の気配を感じた。



「桜都!怪我は⁉︎ 大丈夫なの⁉︎」


「…何もねぇよ。」


「本当に?待って‼︎ 」



止めようとしたけど私の前に詩楽が入ると、その背中で桜都の姿は見えなくなる。



「桜都、笑菜を庇ってくれてありがとう。」



何も答えず行ってしまう桜都の背中をジッと見つめる事しか出来なくて、急に私だけ酸素が薄くなったみたいに胸が詰まり苦しくなる。



「笑菜、今日はもう帰ろう。」


「…大丈夫だよ、どこも何ともないから。」


「お願い、心配なんだ。」



繋がれた手をギュッと握られ、真剣な目を向けられると帰る以外の選択肢など残されてなかった。

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