第3話
中学へ上がる頃には、髪の分け目が違ったり
桜都の方が短めだったりして、周りもそれを頼りに判別していたと思う。
たぶん桜都がワザと変えていたんだろうけど。
「笑菜、チューニング少しズレてるかも。」
「え、ほんと?
メーターでは合ってたんだけど、詩楽には敵わないや。」
「そんな事ないよ、笑菜もフルートすごく上手になったね、綺麗な音。」
「… そ、そう?」
不意に褒められ、頬を染める私に「かわいいね」と揶揄う詩楽は絵本から出た王子さまの様に綺麗で優しくて、人気があった。
お昼休み、二人きりの音楽室で苦手な箇所を見てもらった帰り…
階段を降りていたら、詩楽に駆け寄ってきた女の子達の体が私の肩に当たった、
もしかしたらそれは意図的だったのかもしれない。
あっ
… 落ちる、
「笑菜‼︎ 」
「ダメッ‼︎ 詩楽‼︎ 指を怪我したら…」
私を掴もうとする詩楽の手を咄嗟に振り払う。
こうゆう時って、以外といろいろ考えられるもので階下へ落ちながら「巻き込まなくて良かった、
詩楽はピアニストになるんだから…」と冷静だったりする。
痛いかも…っと覚悟を決めたのに、
その瞬間、滑り込むように入ってきた体に受け止められたおかげで私は何も感じずに済んだ。
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