第86話

史哉くんに、娘のことを……

" 告げない " と決めたのは、私。



苦難な人生に―――……


命をねらわれる、危険性が付き纏う

玖賀で……育てることは不安だった。



やっと、落ち着いてきた……


って言ってたけど、

史哉くんの声や、朝妃の疲労……

玖賀をサポートしてくれている、優哉くん、大輔兄、貴也兄の様子を見ていたら、


落ち着いてないことに、気付いていた。



娘のことは、告げられないけど……



いつか。いつか。いつか―――……



玖賀の状況が落ち着いて

日常生活が、戻ったら………



妃愛のことを、告げて欲しい……と。




大輔兄、貴也兄、優哉くん、


朝妃、蒼哉に………遺言を遺して……




私は、意識を失った。




辛かった記憶よりも、


史哉くんに、長年愛してもらって

流産、死産の子を含めて、



史哉くんの子供を生めて幸せだった。



一時期は、" 抱かれる "


ことが、怖くて。

自分が、汚いと思って。

史哉くんから、逃げていた。




乗り越えられたのは……


史哉くんからの、大きな 愛と。



朝妃の父親の、優哉くんだった。

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